気象庁では、災害につながるような気象現象が予想される場合には、数日前から気象情報等を発表しており、その中に「早期注意情報(警報級の可能性)」があります。
今回は、防災気象情報の一つとして発表される「早期注意情報(警報級の可能性)」について解説いたします。(この記事は、2022年9月10日に掲載しています。)
早期注意情報(警報級の可能性)とは
警報級の自然現象は、ひとたび発生すると命に危険が及ぶなど、社会的に影響が大きいものです。そのため、必ずしも可能性が高くなくても、大雨や暴風等の可能性を知らせることは、防災上意味があるとして、2017年から防災気象情報の一つとして、早期注意情報(警報級の可能性)が気象庁から発表されるようになりました。
早期注意情報(警報級の可能性)は、翌日まで予想する部分(積乱雲や線状降水帯などの小規模な現象に伴う大雨等から、台風・低気圧・前線などの大規模な現象に伴う大雨等までが対象)と明後日から5日先までを予想する部分(台風・低気圧・前線などの大規模な現象に伴う大雨等が主な対象)の二つに分かれています。
翌日までを予想する部分は、定時の天気予報の発表(毎日5時、11時、17時)に合わせて発表され、明後日から5日先までを予想する部分は週間天気予報の発表(毎日11時、17時)に合わせて発表されます。
早期注意情報(警報級の可能性)では、警報級の現象が起こる可能性を「高」または「中」の2段階で表現し、「高」は警報発表中、または警報級の現象となる可能性が高い状況であることを表し、「中」は「高」ほど可能性は高くないが、警報級の現象となりうることが一定程度認められることを表しています。
翌日までの早期注意情報(警報級の可能性)で「高」が発表された場合は、危険度が高まりつつあることを示していることから、警報・注意報等の防災気象情報で警報級の現象が予想される詳細な時間帯や現象の程度などを確認するとともに、神戸市が発表する避難情報に留意し、大雨ならば土砂災害や河川の氾濫等に警戒する必要があります。
また、翌日までに「中」が発表されていたり、2日先以降に「高」または「中」が発表されていた場合には、最新の防災気象情報等に留意するなど、災害への心構えを高める必要があります。
早期注意情報(警報級の可能性)は、大雨、大雪、暴風(雪)、波浪、高潮を対象として発表されますが、大雨および高潮に関して発表される警報級の可能性「高」または「中」は、2019年(平成31年)から始まった5段階の「警戒レベル」では、災害への心構えを高める必要があるとされる警戒レベル1に位置付けられています。
なお、警戒レベルの詳細については内閣府ホームページをご覧ください。(
https://www.bousai.go.jp/oukyu/hinanjouhou/r3_hinanjouhou_guideline/)
早期注意情報(警報級の可能性)の発表例
(気象庁ホームページより)
高潮に関する早期注意情報の運用開始
気象庁はこれまで、高潮による災害により早い段階で備えられるよう、日本付近に警報級の災害をもたらすおそれがある台風の接近や通過が予想される場合に限って、5日先までの警報級の高潮となる可能性に関する情報を図形式で提供してきました。
今般、高潮予測技術の改善により、台風に伴う高潮予測の精度が向上したことや台風以外の要因による高潮も含め警報級の高潮となる可能性をより具体的に評価することが可能となったことから、2022年9月8日から高潮に関する早期注意情報(警報級の可能性)の運用を開始しました。
高潮による浸水が想定されている地域では、自治体での防災対応や住民の早めの避難行動の判断材料としての活用が期待されます。
早期注意情報(警報級の可能性)の利活用のイメージ
(気象庁ホームページより)