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1月末には10年に一度程度と言われた寒波が襲来し、交通機関の混乱など社会生活に大きな影響を及ぼしましたが、2月に入り神戸の最高気温が10℃を超える日が続くなど、次第に春の気配が感じられる頃になってきました。
寒い冬から春へと季節が移り変わるこの時期、「春一番が吹きました」とニュースなどで聞いたことがあるのではないでしょうか。今回は、春の訪れを告げる「春一番」について解説いたします。(この記事は、2023年2月20日に掲載しています。)
春一番は、冬から春に季節が移行する頃に、初めて吹く暖かい南寄りの強い風のことで、気象庁の予報用語では、立春(2月4日頃)から春分(3月21日頃)までの間に、広い範囲で初めて吹く、暖かく(やや)強い南よりの風と解説されています。
立春を過ぎる頃になると、それまで見られた西高東低の冬型の気圧配置が緩み始め、太平洋側を通過していた低気圧が日本海を通過することが多くなります。風は気圧の高いところから低いところに向かって吹くため、日本海を東に進む低気圧に向かって南風が吹くことになります。このような気象条件の中で初めて基準を超えるような強い南風を観測した時、「春一番が吹いた」と各地の気象台から発表されます。
2021年に近畿地方で春一番が吹いた3月2日の天気図
(気象庁ホームページより)
春一番は、一定の期間内に南寄りの強い風を観測した場合に発表されますが、地域・地方によって、発生条件は若干異なります。
近畿地方における「春一番」の発生は、立春(2月4日頃)から春分(3月21日頃)の間に、低気圧が日本海にあって、南よりの風が最大風速8メートル以上となり、最高気温が平年(または前日)より高くなった初めての日に、気象状況を総合的に判断して発表されます。
なお、北海道や東北のように、春一番のような暖かい風が吹いても、まだ冬の気候が続くなど、地域の特性により「春一番」を発表しない地域・県もあります(発表しない地域・県:北海道地方、東北地方、長野県、山梨県、沖縄県)。
「春一番」という言葉の語感からは、光があふれ、穏やかな春の訪れを感じさせるなど、優しい風のイメージがありますが、強風が吹き荒れる「春の嵐」として災害を引き起こす現象でもあります。
この時期に発生する低気圧は急速に発達することが多いため、荒れた天気になりやすく、より広い範囲で風が強まることがあります。このため、強風や竜巻などの突風による海難事故や交通機関の乱れ、融雪(積雪が大雨や気温の上昇により解ける現象)による河川水位の上昇やなだれの発生など、影響が広範囲に及ぶことがありますので、注意が必要です。
また、春一番が吹いた翌日は急に北風に変わって寒くなることが多く、日ごとの寒暖差が大きくなるため体調の管理にも注意が必要です。
なお、期間や気圧配置、風の条件が揃わず、春一番が発表されない年もあります。