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最終更新日:2024年6月3日
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この解説は、2019年9月、兵庫県弁護士会の監修を受け作成したものです。
兵庫県弁護士会(外部リンク)
相談が多いテーマの一般的な質問とそれへの回答の一例を示したものです。具体的な事情等によっては、この限りではありません。
(解説)
「示談」とは、当事者間に民事上の争い(※1)がある場合に、裁判外において、話し合いにより、その紛争を終了させる(※2)ことをいいます。ほとんどの示談は、当事者が互いに譲り合うことにより成立し、このような場合、法律上は和解契約(民法第695条)にあたります。
一方、裁判所の関与により、民事上の争いを終了させる(※3)方法としては、簡易裁判所において、話合いで解決する「民事調停」、訴訟手続中に話合いで解決する「訴訟上の和解」、当事者の主張や立証をもとに裁判所が客観的に法律的判断(判決)を下す「訴訟」等があります。
(解説)
示談(以下、特に断りがない限り、当事者が互いに譲り合うことによる示談をいいます。)が、いったん成立すると、法的拘束力を生じ、たとえ示談の際に当事者が知らなかったような事実が後になって判明しても、原則としてその効力をくつがえすことはできません(民法第696条)。
示談が成立すると、当事者双方は、以後示談で取り決めた内容を誠実に実行しなければなりません。そこで、示談の内容を書面の形で作成し(示談書の作成)、どのような解決がなされたかを明確にしておくことが必要です。
(解説)
一旦示談しますと、示談の際に当事者が知らなかったような事実があとになって判明しても、原則として示談をくつがえす(例えば「示談金を支払わない」など)ことはできません。よって、示談するにあたっては、示談の内容を十分に理解したうえで行う必要があります。
(解説)
示談の効果は、示談をした当事者に発生しますので、誰と誰の間に示談するのかをはっきり確認しておくことが必要です。従って、当事者が個人か法人(株式会社等)かの別、法人の場合は代表者氏名を明記しなければなりません。また、代理人による場合には、当該代理人に真に権限があるか(委任状の写しの交付を求めるなど)、当事者が未成年の場合は、親権者(未成年後見人)を法定代理人として記載しているか等、注意する必要があります。
(解説)
示談の当事者が、いかなる紛争を解決するために示談を行うのか正確に理解するために、示談の前提となった民事上の紛争について、「いつ」、「どこで」、「誰が」、「誰に対して」、「どのような行為で」、「どのような結果(損害)が生じたのか」、「その原因は何か」など、具体的に示談書に明示することが必要になります。
(解説)
民事上の紛争を当事者が互いに譲り合って終了させることが示談の目的ですので、紛争の解決方法(一定の金銭の支払であれば、支払の当事者・金額・支払方法・支払期限など)を具体的に示談書に明示する必要があります。
(解説)
示談は契約ですので、当事者が合意したとの意思を示すことが必要なことは当然です。よって、原則として当事者双方が示談書に署名押印することが必要になりますが、債務の支払の合意など、支払を行う一方のみの署名・押印のみで十分な場合もあります。当事者が一旦示談書に署名押印しますと、原則としてくつがえすことはできませんし、その内容を確実に実行しなければなりませんので、署名押印に当たっては、示談書の内容をよく吟味し、納得した上で行うことが大切です。
(解説)
押印に使われる印章(印鑑)には、実印と認印がありますが、どちらも押印の法律上の効力は同じです。ただ、実印は、市区町村長にあらかじめ届け出て印鑑証明書の交付を受けられるようにしてある印章であり、慣習上重要な取引に用いられていますので、後の紛争(「自分の署名押印ではない」など)を防止するためには、双方が実印を押印し、印鑑登録証明書を添付することが有効といえます。
(解説)
示談の内容の記載は、手書きでもワープロ・パソコンでも差し支えありません。当事者欄は、記名(自署ではないワープロ打ちなど)押印であっても示談の効力には影響しませんが、後の紛争を避けるために、氏名については自筆で記載したうえで押印することが望ましいです。なお、署名は、作成者本人が自ら手書きしなければなりません。
(解説)
示談書として書式が市販されていますが、用紙は普通の紙でも全く問題はありません。
(解説)
示談書が複数枚となった場合には、文書が一つのものであるということを証明するために、のり等でしっかりと接着した後、つなぎ目に、示談書に署名押印した際の当事者の印章(印鑑)と同じもので割り印しておくことが望ましいです。