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生食用食肉の基準

最終更新日:2024年8月23日

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2011年に、富山県等で食肉を生食することで腸管出血性大腸菌による食中毒事件が発生しました。この食中毒事件では、小児等5名の方が亡くなり、181名の患者が発生しました。
この食中毒事件の発生を受けて、生食用食肉の規格基準(成分規格・加工基準・保存基準・調理基準)、加工場・調理室等の施設基準、表示基準の基準が設定されました。

生食用食肉とは

牛の食肉(内臓を除く。以下この目において同じ。)であって、生食用として販売するものです。
牛ユッケ、タルタルステーキ、牛刺しおよび牛タタキ等が対象です。
これらについて、成分規格、加工基準、保存基準、調理基準、表示基準が定められました。
基準に違反した場合は法令違反となり、行政処分を受けることがあります。

生食用食肉の調理・提供

飲食店で牛ユッケや牛刺し等を提供する場合は、専用の施設で枝肉から一貫して基準に定められた加熱などの処理が行われ、成分規格を満たした「生食用食肉」の表示がある肉塊を仕入れる必要があります。
厨房では、この加熱済みの肉塊を調理(細切・調味)して提供することしかできません。
生食用食肉として加工されたもの以外の食肉を生で提供することはできません。

生食用食肉の調理・提供する場合の設備・器具等

厨房内の専用の区画、専用の器具が必要があります。

  • 専用区画には器具及び手指の専用の消毒設備が必要です。
  • 使用した器具等は肉塊毎に83℃以上の温湯で消毒を行う必要があります。

生食用食肉の調理を行う人

生食用食肉の調理を行う人は、食品衛生責任者と同等以上の知識を有することが必要です。

店頭、メニュー等に必要な表示

生食用食肉を提供する場合には、店舗の見やすい箇所(店頭、メニュー等)に以下の表示をしなければなりません

  • 一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがある旨
  • 子供、高齢者その他食中毒に対する抵抗力の弱い者は食肉の生食を控えるべき旨

調理に使用する生食用食肉

 
  • 生食用食肉として加工され、成分規格を満たしたもの以外の食肉を生で提供することはできません。
  • 生食用食肉は4℃以下で、保存しなければなりません。(保存基準)
  • 通常の包装食肉の表示に加え、生食用食肉の表示項目があることを確認してください。

生食用食肉の処理・加工等

食肉を生食用として加工・出荷するためには少なくとも以下の要件を満たさねばなりません。

加工に使用する肉塊

加工に使用する肉塊は、枝肉から切出した後、加熱殺菌まで、同一施設で速やかに処理する必要があります。

生食用食肉の加工

専用の消毒設備を設けた専用の区画で、専用の器具を用いて行う必要があります。
肉塊が直接接触する処理設備は一つの肉塊を加工するつど消毒を行う必要があり、使用した器具も一つの肉塊を加工するつど、83℃以上の温湯で消毒する必要があります。
※同一の施設を、生食用とそれ以外に時間によって使い分けることは認められません。

表面の加熱殺菌

生食用食肉は、気密性のある容器包装にいれ、密封した後、表面の加熱殺菌を行う必要があります。

また、加熱記録は1年間保存する必要があります。

生食用食肉の加熱基準

肉塊の表面から深さ1cm以上の部分までを60℃で2分以上加熱が必要です。

生食用食肉の成分規格 

腸内細菌科菌群(腸管出血性大腸菌やサルモネラを含む菌群)が陰性であること。

実際の加熱条件とその検証

  • 実際の加熱条件は肉塊の重量や加熱方法により変動するため、施設ごとに加工者が設定する必要があります。
  • 加熱条件の検証のため、加工した肉の提供開始前と開始後のそれぞれについて細菌検査(25gを1検体として25検体以上)を行い、成分規格に適合するかを確認し、その記録を1年間保存する必要があります。

表面加熱の終了後の冷却と保存

生食用食肉は、表面加熱の終了後、直ちに4℃以下に冷却され、その後は4℃以下で流通、保存されなければなりません。

生食用食肉の加工を行う者

生食用食肉の加工は、原則として、食品衛生管理者の資格を有するもの(もしくは同等の知識を有すると都道府県知事等が認めるもの)が行うか、同資格者の監督の下に行わなければなりません。

食品衛生管理者の資格(例)

1 大学で、医学、獣医学、薬学、水産学、畜産学、農芸化学の課程を修めたもの

2 食品衛生法第48条第6項第4号に基づく養成講習会を受講したもの

生食用食肉の表示 

生食用食肉の表示には、通常の包装食肉の表示に加え、以下の項目が必要です。
 
  • 生食用である旨
  • とさつ又は解体が行われたと畜場の名称および所在都道府県名
  • 生食用として加工した施設の名称及び所在都道府県名
  • 一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがある旨
  • 子供、高齢者その他食中毒に対する抵抗力の弱い者は食肉の生食を控るべき旨

基準を守らなかった場合

基準を守らなかった場合は、食品衛生法第13条第2項違反となり、同第54条、第55条及び第72条に基づき、当該食品の廃棄命令や営業禁止及び2年以下の懲役又は200万円以下の罰金等の処分を受ける場合があります。

その他の食肉の生食の規制等

牛肝臓

生食用牛肝臓(レバー)の販売は禁止されています。

馬肉

従来の生食用食肉の衛生基準が適用されます。

豚肉(内臓を含む)

豚肉(内臓を含む)を生食用として販売することは禁止されています。

牛の肝臓以外の内臓や鶏肉等

これらの生食については、汚染実態や防止対策等について整理したうえで、今後の取扱いについて国において検討されることとなっていいます。
ただし、これらの食肉についても、食中毒のリスクが高いことから、生食用として提供するのはやめましょう。

問い合わせ

お問い合わせ先

健康局食品衛生課